MRIの信号源は生体を対象とする場合、水のプロトンが主となる。生体内では、水がさまざまな速度で移動している。例えば血管内では、そのサイズにより移動速度が1m/s〜数cm/sの範囲であり、末梢血管網では移動の方向もランダムとなる。さらに血管外の組織では、微視的にみるとブラウン運動と呼ばれる複雑な運動を行うようになる。これら、さまざまに移動している水のスピンを画像化するのには、それぞれの運動の特性に併せた撮像法が必要となる。移動の方向が一定であれば、通常MRAがとられるし、ブラウン運動のレベルが対象であれば、拡散強調画像が利用される。末梢の血管網はその中間に位置し、いずれの方法でも困難となる。この講演では、末梢の還流レベルの比較的低速だが、移動の方向がランダムで通常の撮像法では困難な水を対象とするASL perfusionに特に焦点をあて述べる。
日本放射線技師会では、医療制度改革の中の「医療資格者の資質の確保・向上等」を受けて、生涯学習システムの確立に向けて事業を進めてきた。その主な事業は、(1)大学・大学院による放射線技師養成教育の推進、(2)養成教育のカリキュラム見直し及び不足科目の補足、(3)臨床実習のあり方の改善、(4)医療従事者の資質確保のための免許更新制度への対応、(5)医療職種の再編成への対応、(6)医療従事者の労働派遣に対する対応、(7)広告規制の緩和に対する対応、(8)免許の国際化への対応である。
一方、本会では、放射線技師教育制度検討委員会を立ち上げ、今後の技師養成教育はいかにあるべきかを検討してきた。その結果、次の7項目を事業として進めていくこととしている。(1)診療放射線技師養成教育は4年制教育で行うこと、(2)国民医療に適合する医療人並びに医療従事者に相応な教育内容を更に充実させること、(3)教育内容に沿う診療放射線技師国家試験科目に変更すること、(4)医療政策に需要と供給バランスに見合う診療放射線技師を養成すること、(5)診療放射線技師大学院教育を体系化すること、(6)社会人診療放射線技師大学院教育を推進すること、(7)診療放射線技師養成教育並びに生涯教育を継続的に調査研究する学会等を育成することの事業である。
今日の診療放射線技師の教育は「学校教育」と「卒後教育」からなっている。「学校教育」は,3年制の専修学校と短期大学,4年制の大学で行っている。両者の教育内容に違いはあるのか。異なる教育形態が混在するなかで,必要とする人材は育つのか。このような事柄についてまず議論を始めたい。学校を卒業した後の進路は就職(医療施設・企業)か進学(大学院・大学(編入))になる。どちらにおいても何らかの「卒後教育」がある。例えば,医療施設・企業内での研修,学会・技師会等の講演会・研修やセミナー,専門技師制度に伴う研修(更新制度),学会への参加,大学への進学(編入),大学院(一般・社会人)への進学,がんプロフェッショナル養成コースへの進学などがある。ここでは大学院における教育,専門技師認定制度を中心にお話しするとともに,これからの診療放射線技師のあり方を見据え,それを実現していくためにはどのような教育環境,教育実習内容が必要かということについての考察を行いたい。例えば,今回のテーマは「教育」であるが,私は人を育てていくためには「教育(education)」と「訓練(training)」が必要と考えている。また,大学院では何が求められているのか,大学院における資格認定は必要か,などについて考えを述べることにする。最後に,時間があれば日本放射線技術学会で提案しているスーパーテクノロジストの今後について私見を述べるとともに,学会の果たす役割について考えることにする。多くの方々にこの企画に参加していただき,共に考えていくことを願っている。
MDCTが登場して10年が経過しようとしています。近年のCTの技術進歩は目覚しいものがあります。当初は4列から始まったMDCTも現在では320列と多列化し検査の内容も10年前とはずいぶん変化しました。
近年MDCTの多列化によって進化した検査のひとつとして心臓CTがあげられます。多列化したことにより撮影時間は短縮され、より信頼度の高い冠動脈の画像が得られるようになりました。この事によって、冠動脈狭窄の評価などがCTで可能となり、循環器領域の診断に大きな変化をもたらしています。しかしながら、心臓CTは、まだまだ万能ではありません。高心拍、高度石灰化、ひばく線量などまだまだ発展途上な部分も沢山あります。
また、MDCTでは詳細なボリュームデータが得ることが可能で高精細なVRやMPRなどさまざまな画像処理が可能となりました。このデータを有効活用してこそ、MDCTの実力を発揮しているといえます。当院ではCTデータからMPRなどを作成するのはもちろんのこと、過去のCTデータと重ね合わせる事(Fusion画像)によってさまざまな画像を提供しております。今後CTの発展に伴い、様々な画像処理方法が生まれるのではないかと思っています。Fusion画像を知って頂く事で、さらに診断に役に立つ新たな画像のヒントになればと思っています。
当院には320列の最新の装置はありませんが、64列MDCTでどこまで臨床の役に立つ画像が提供できるかと、現状のCTでの限界点、今後CTに期待することがお話できたらと思っています。
島根県は平成17年に高齢化率全国第1位となった。高齢者医療において、非侵襲的かつ診断精度の高いMR検査は欠かすことのできない検査法であり、更にMR装置の高磁場化にともなう検査時間の短縮や新たな撮像法の登場がその有用性を高めている今、当院は日常のMR検査業務と共に「高齢者に優しい撮像法」の研究活動を担う必要があると考えている。また、当院が掲げている理念・目標は「地域医療と先進医療が調和する大学病院」である。この2つのことに具体的に対応する目的をもって2007年4月、島根県内初となる3T MR装置を14年間使用してきた1.5T MR装置の後継機種として導入した。
現在、当院での3T MR装置の主な役割は急性期疾患への対応であり、特に急性期脳血管疾患患者のMR検査においては3Tという高い静磁場強度が威力を発揮している。また、3T MR装置の導入に伴い様々なアプリケーションが使用になったため、院内フィルムレス化と相まってMR検査一連のワークフローをも変化してきている。
今回のシンポジウムでは、我々が約1年間に経験した3T MR装置ならではの臨床におけるアドバンテージや問題点を解説したのち、その問題点を解決するための最新技術と撮像テクニックやその臨床応用についても解説する。
核医学はCTやMRIと大きく異なり、体内へ取り入れた放射性医薬品により臓器や組織の血流や代謝を画像化する、いわゆる機能検査である。1895年にレントゲン博士がX線を発見して以来、CTやMRIなどと共に急速な進歩を遂げてきた。撮像装置は多画素化、多検出器化、多コリメータ化し、ソフトウェア面では新しいデータ解析法や画像再構成法が出来、SPECT-CTやPET-CTなどimage fusionも可能となり、技師は撮像テクニックの選択性が増え、医師は診断の幅が大きく広がった。精度の高い統計学的画像解析法も出現してきたことにより、核医学診断は益々客観的画像診断へ様変わりした。また、放射性医薬品では部分てんかん焦点やFDG-PET検査の診断薬に加え、前立腺がんに対する小線源療法用、有痛性転移骨や悪性リンパ腫など内用療法用も承認、使用されはじめた。今後は、現検査法や解析法のエビデンスの確立、新薬や新撮像法の出現が一層期待される。